こんにちわ。漫画研究所です。今回の記事は「錆兎と真菰」についてです。
炭治郎が参加する最終選別の前に、突如現れた二人。
炭治郎にも義勇にも、なくてはならない存在でした。
今回は、そんな二人を振り返ってみたいと思います。
内容としては、コミックス15巻までの内容を含みます。
それではどうぞ♪
錆兎初登場
最終選別直前の鱗滝の試験。大岩を斬れれば合格というものでした。
炭治郎は、今まで鱗滝さんに教えてもらったことを、ただひたすら繰り返します。
しかし、半年経っても岩は斬れませんでした。
くじけそうになる炭治郎。岩に向かって
「頑張れ俺!」
と自身を鼓舞します。
そんなときでした。
「うるさい」
という声とともに、岩の上に錆兎が現れます。
炭治郎は、錆兎がいることに全く気付いていませんでした。錆兎からは匂いがしないと言っています。
錆兎は
「男ならどんな苦しみにも黙って耐えろ」
と言いました。
そして、炭治郎に斬りかかります。このとき錆兎は木刀を使っています。
炭治郎は蹴り飛ばされ、錆兎に未熟だと言われます。
「そんなものは男ではない」
とまで言われています。
錆兎は男気溢れるキャラクターのようです。
ここで気付く人は少ないかと思いますが、錆兎の羽織の模様は、冨岡義勇が着ていた羽織の模様半分と同じ物になっています。
これには理由があります。これについては後述します。
炭治郎は、相手が木刀を持つ人間だということで手が出せません。
そして、錆兎によりボコボコにされてしまいます。
そこで錆兎から聞いたのは、錆兎も以前に呼吸を使って岩を斬ったということでした。
そして炭治郎は、錆兎の一撃により気絶させられてしまいます。
まずここで錆兎が教えたのは、炭治郎が弱いということ、そして、呼吸が全く使えていないということです。
錆兎は、口で細かく指導をするのは苦手なようです。そこで、もう1人の人物、真菰に指導を代わります。
真菰初登場
錆兎に炭治郎を託された真菰。私が見てあげるから錆兎のように強くなれると、炭治郎を励まします。
真菰は知識として、炭治郎の悪いところや癖を指摘していきます。
錆兎もそうですが、真菰の口からも鱗滝の名前が出ています。
真菰との話で明らかになったのは、錆兎と真菰は兄弟ではないこと、そして、自分達以外にも子供がおり、いつも炭治郎を見ているということでした。
真菰は、全集中の呼吸について、具体的に炭治郎に説明しました。
どうやったらできるようになるのか、尋ねる炭治郎。
真菰が言ったのは
「死ぬほど鍛える」
だけでした。
口で説明してできるようになるものではなく、死ぬほど鍛えることで、できるようになるもののようです。
真菰が教えたのは、炭治郎の悪いところや癖といった、口で言って治る部分でした。
ただ、それ以上は口で言うより実践。ここから再び、錆兎との実践形式も始まります。
斬る
炭治郎は、錆兎と真菰の指導を受けながら、錆兎に勝てるよう努力しますが、半年経っても錆兎には勝てませんでした。
しかし、半年経ったある日。いよいよかと錆兎も真剣を持って現れます。
より強く、より速いほうが勝つ。
そして、炭治郎は錆兎よりも早く剣を振り下ろし、錆兎の面を斬りました。
初めて見る錆兎の顔。
そこには錆兎の笑顔があり、泣きそうな嬉しそうな、安心したような笑顔だったそうです。
そして、真菰は
「アイツにも勝ってね」
と言い、錆兎と真菰はその場から姿を消しました。
炭治郎が我に返ると、錆兎を斬ったはずの刀は、岩を真っ二つに斬っていました。
これには鱗滝も驚いていたようです。
おそらく鱗滝は、斬れないほどの岩を用意しておき、炭治郎を最終選別に行かせないつもりだったと思われます。
そして、鱗滝がもう一つ驚いたのは、炭治郎が錆兎と真菰の名前を知っていることでした。
それは、錆兎と真菰がすでに死んでいる子供だったからです。
手鬼
錆兎と真菰は、すでに死んでいました。
錆兎と真菰を殺したのは「手鬼」という、最終選別の場所である藤襲山にいた鬼です。
錆兎と真菰も、過去に最終選別に参加していたのです。
手鬼の頚は硬く、錆兎は手鬼の頚を斬れませんでした。
これにもワケがあるのですが、錆兎の刀は折れ、最終的に手鬼に殺されました。
真菰も違う時期に最終選別に参加しています。そして、手鬼に遭遇します。
手鬼から鱗滝の弟子を食べてきたことを聞かされた真菰は、戦意を喪失、最終的に手鬼に殺されてしまいます。
そのことを手鬼から聞いた炭治郎。感情的になってしまい呼吸が乱れます。
それを指摘する錆兎。
真菰は炭治郎なら勝てるかな?と錆兎に尋ねました。
錆兎は分からないと答えます。でも一つの事実があると言いました。
「炭治郎は、誰よりも硬く大きな岩を斬った」
これは「今までの誰よりも」という意味だと思います。なので、刀の力だけでいえば、炭治郎は錆兎よりも上ということになります。
ワケがあるとはいえ、手鬼の頚を斬れなかった錆兎。それよりも強い斬撃を繰り出せる炭治郎。
錆兎と真菰はそこに賭けます。
帰る
錆兎が言った、誰よりも硬い岩を斬った炭治郎。
炭治郎は水の呼吸を使い、手鬼の頚を斬ることができました。
これによって、錆兎や真菰、手鬼に食べられた鱗滝の弟子は、ようやく鱗滝の元へ帰ることができました。
今までずっと、鱗滝の知らないところで、錆兎と真菰は剣士を育てていたようです。
そして、手鬼討伐という悲願を達成するまで、鱗滝の所へは帰れないと決めていたようです。
これは、錆兎や真菰が鱗滝を好きだったから。好きだからこそ、子供が死ぬ姿を見せたくなかった。
そのために錆兎と真菰は成仏せずに、あの場所にとどまっていたようです。
これには鱗滝も、救われたのではないでしょうか。
義勇との関係
先程お話しした、錆兎と義勇の羽織の件。
あれについては、コミックス15巻、柱稽古の際に明らかになりました。
義勇は、鬼殺隊に入隊する際、最終選別を突破していないと言いました。
では、どうして義勇は鬼殺隊に入れたのか。そこには錆兎が関係していました。
過去に同期で最終選別に挑んだ2人。
その際、錆兎が藤襲山の鬼をほとんど倒してしまったため、何とか義勇も生き残ることができました。
生きてさえいれば、最終選別は突破となります。
当時の錆兎と義勇は、2人とも13歳。同い年で天涯孤独という共通点から、すぐに2人は仲良くなったそうです。
このときから錆兎の口には傷があるため、幼い頃についた傷なのでしょう。
そして錆兎と義勇は、共に最終選別に挑みました。しかし、その最終選別で死んだのは、錆兎だけでした。
真菰は、また別の時期だったようです。
義勇は、自分より強かった錆兎が死んでしまったことで、自分が死んだ方が良かったのではと考えるようになりました。
錆兎が生きていれば、自分よりも遙かに強く、凄い剣士になっていたかもしれない。
痣の発現も、自分には不可能。錆兎なら出たかもしれないと言っています。
そして、大事な親友が亡くなった悲しみ。
何故ここまで義勇が過去を気にしているのかというと、自身が錆兎に助けられ、そのせいで錆兎が手鬼に殺されたと思っているからです。
確かに錆兎は、藤襲山のほとんどの鬼を1人で倒しています。
手鬼の頚を斬れなかったのは、その際刀が摩耗していたからと言われています。
もし、自分だけを守り、万全の状態で手鬼と戦っていたら…どうなっていたか分かりません。
確かに義勇が思い詰める気持ちも分かります。
託されたもの
「義勇さんは錆兎から託されたものを、繋いでいかないんですか?」
この一言で、義勇は錆兎とのあるやり取りを思い出します。
過去の錆兎と義勇。錆兎は義勇に平手打ちをしました。
「自分が死ねば良かったなんて、二度と言うなよ」
義勇は、翌日祝言をあげるはずだった姉が亡くなってしまったことに、自分が死ねば良かったと発言してしまったようです。
義勇の姉は、全て分かった上で義勇を鬼から隠し、守り抜いたようです。
姉が繋いでくれた命。託された未来。
「お前も繋ぐんだ。義勇」
錆兎の言ったこの言葉で全てを思い出し、未熟な自分に気付く義勇。
義勇の姉と同じく、錆兎もまた、義勇に命を繋ぎました。こうして繋がれていく命。
煉獄から炭治郎へも、それは受け継がれています。
こうして炭治郎の一言で、過去を思い出した義勇は、柱稽古を受けることに決めました。
まとめ的なもの
義勇が羽織の半分を錆兎のものにしているのは、おそらく錆兎を忘れないためなのだと思います。
しかし、思い出すと辛いため、忘れたことにしていたようです。
最期は魂となり鱗滝の元へ帰っていった錆兎と真菰。あれは幽霊だったのか。
どういう原理だったのか。そういったところは、あまり考えないようにしたほうがいいのかもしれません。
これ以上あの2人が掘り下げられるということはなさそうなので、綺麗な想い出のひとつとして残しておきましょう。
それでは今回はこのへんで♪
追記
義勇の羽織の半分が、錆兎のものだというお話がありましたが、実は羽織のもう半分は、姉のものなんだとか…。
なんとも泣ける話です。