『鬼滅の刃』遊郭編にて、漫画、アニメ、ともに大活躍を見せた音柱・宇随天元。派手を好む宇随天元は、見た目にも戦い方にも華があり、見ていて飽きない人物です。
しかし、遊郭での激戦を経て、片腕・片目を失ってしまった天元は、鬼殺隊の引退を余儀なくされてしまいました。遊郭の現場に駆け付けた蛇柱・伊黒小芭内が引き留めたものの、天元の意思は固く、一線での戦いは完全に引退してしまいます。
遊郭編時点で痣が発現しておらず、透き通る世界や赫刀などの技術も、持ち合わせていなかった天元。逆に言い換えれば、彼にはまだまだ成長のチャンスがあったことを意味しており、痣なしで上弦とやり合った事実は、感嘆に値します。
今回の記事では、そんな宇随天元のポテンシャルに着目。他の柱と比べて自身を卑下していた天元でしたが、「成長次第では、柱上位にまで食い込めたのではないか」という説を検証していきます。
異例の出自
まず注目したいのは、宇随天元の出自です。鬼殺隊に入る以前の天元は、忍の家系に生まれた身として、訓練の日々を送っていました。9人姉弟のうち、7人が死んでしまうほどの厳しい訓練の末、生き残った天元。大正時代に生き残る数少ない忍の1人として、天元は任務に奔走します。
そんな忍時代には、幾つかの暗殺任務もこなしてきたことでしょう。暗殺には綿密な計略の他にも、ターゲットの命を奪う、「一瞬の隙を伺う観察眼」も必要となります。
訓練を耐え抜くほどの、優秀な忍であった天元は、そんな頭脳や観察眼があったからこそ、遊郭編に至るまで生き続けることが出来たのではないでしょうか。遊郭編で天元が見せた戦闘計算式「譜面」は、まさしく頭脳と観察眼の賜物です。
透き通る世界に到達可能だった?
前述した通り、忍は暗殺任務も請け負う戦闘集団です。作中においても天元やその妻たちが、人を手にかけたであろうことが示唆されており、実際に暗殺任務が存在したことが伺い知れます。
ターゲットの隙を、的確に突くような観察眼を持っていた天元は、あと一歩で「透き通る世界」に到達することが出来ていたのではないでしょうか。
時透無一郎のような天才はまだしも、悲鳴嶼行冥や伊黒小芭内は、激しい戦闘の中で透き通る世界に到達しました。敵の律動を読むことで戦闘計算式「譜面」を完成させていた天元でしたが、もし彼が透き通る世界にも到達した場合、並ぶ者のいない強さを手にしていたかもしれません。
自分の弱さを知っている
特筆すべき宇髄天元の強さは、その精神力です。派手を好み、毒に侵された状態でさえ、決して弱みを見せなかった天元。さらに彼は、そんな強さを持っていながらも、謙虚さを併せ持っています。
例えば、妓夫太郎から才能を妬まれた天元は、悲鳴嶼行冥や時透無一郎、煉獄杏寿郎を思い浮かべながら、自身の才能の無さ、実力の不足を悔やみました。普段の言動には、強気な姿勢が見え隠れしている天元ですが、本質の部分では己の分を弁えており、決して驕らない人物であることが分かります。
「譜面」こと戦闘計算式を作り上げるなど、知性が高い様子も描写されていた天元。戦闘能力の才能としては、他の鬼殺隊士達に一歩及ばなかったものの、知性や精神力の点では、上位に食い込むことは間違いなさそうです。
痣の発現は目前だった?
遊郭編において炭治郎たちとの共闘で、上弦の陸を討伐することに成功した宇髄天元。この時点で既に炭治郎は”痣者”であり、痣が他者に伝播する性質を考えれば、天元にも痣が発現する可能性は十分ありました。
結果的に痣は発現しなかった天元でしたが、痣なしでも上弦の陸と渡り合った事実を鑑みると、痣が発現していた場合、更なる強さを手にしていたことは間違いなさそうです。
天元に痣が発現しなかった理由としては、知性の高さと冷静さが、関与しているのではないかと考えられます。忍として生まれ育った天元は、厳しい訓練の中で、高い知性と冷静沈着な態度を身につけたはずです。
一瞬の隙を突く暗殺技術には、気の迷いを生む激情を必要とせず、感情のコントロールが必要となります。ゆえに、激情を巡らせて体温を上げる”痣”の発現は、天元にとって最も遠い技術だったのではないでしょうか。一方で、もし彼が痣の発現方法を耳にしていた場合、意図して痣を発現させることも可能だったかもしれません。
宇髄天元にとって赫刀は容易
作品が進むにつれて明らかになった、赫刀の概念。かつて最強の鬼狩りとして、無惨に恐れられていた継国縁壱は、竈門炭治郎と同じ黒い日輪刀の使い手でした。しかし彼は、鬼と戦う際には刀を赤く変質させており、始まりの呼吸の剣士であるとともに、始まりの赫刀の剣士であったことでも知られています。
そんな赫刀の発現条件は、刀の温度を上げること。具体的には、「万力の握力」を用いて刀の持ち手を握りつけるか、他の日輪刀との衝突によって、刀身の温度を上昇させるかの二択によって、赫刀を発現させることができます。霞柱・時透無一郎と、蛇柱・伊黒小芭内は前者の方法で。風柱・不死川実弥と水柱・冨岡義勇、岩柱・悲鳴嶼行冥は、後者の方法で赫刀を発現させました。
以上の事実を考えると、忍として鍛錬を積み、鍛え上げられた肉体を持っている天元は、万力の握力を用いて、赫刀を発現させることも可能だったように思われます。さらに彼は二刀流の使い手ですから、悲鳴嶼行冥のように自分自身の日輪刀を衝突させることで、握力無しに赫刀を発現させることも可能でした。
もし赫刀の発現方法が周知されていた場合、切断面を灼く赫刀によって、妓夫太郎や堕姫に、更なるダメージを与えることが出来ていたかもしれません。宇随天元が、自身の刀を打ち付けて赫刀を発現させる様子は、想像しただけで格好いいです。
悲鳴嶼行冥に次ぐNo.2になっていた?
ここまでは、音柱・宇随天元の様々な可能性について、考察を行ってきました。忍という特殊な家系に加えて、二刀流の使い手である事実は、痣や透き通る世界・赫刀などの様々なステージに、登ることが出来るであろうポテンシャルを意味しています。
もしも天元が、痣や透き通る世界に覚醒していたなら、持ち前の頭脳と冷静さにより、鬼殺隊最強・悲鳴嶼行冥に次ぐ「No.2」になっていたかもしれません。あるいは、悲鳴嶼行冥になり替わる、鬼殺隊最強の隊士として、全体を引っ張る存在になっていた可能性すらありそうです。
派手さを好み、自身でも派手を体現する天元は、部隊の前線で全体の士気を上げる存在として、これ以上ない逸材。また、高い頭脳と味方を思いやる気遣いも持つため、リーダーとして集団を引っ張る適性も感じられます。もし遊郭編で、痣や透き通る世界に覚醒していれば、上弦の陸を瞬殺し、悲鳴嶼行冥に次ぐ鬼殺隊トップ層として、隊士を引っ張っていたことでしょう。
また、遊郭編が原作通りに進行したとしても、隻腕隻眼の剣士として修練を積んでいれば、痣や透き通る世界の発現が、可能であった可能性もありそうです。義手を用いることで、二刀流の強みを残すことも出来ますから、赫刀の発現も不可能ではないでしょう。
宇随天元という人物は、蛇柱・伊黒小芭内も引き留めていた通り、ポテンシャルに溢れた人物です。考えれば考える程、遊郭編時点で引退を決意してしまったことが悔やまれます。
優秀な育手にもなり得る?
雷の呼吸の派生である、音の呼吸を用い、上弦を撃破して見せた宇随天元。持ち前の聴力で対象の律動を読み、戦闘計算式「譜面」を作り上げた天元は、戦闘能力だけでなく、感覚や頭脳にも秀でています。
一線を退いた後の天元であれば、同じく聴力に秀でた善逸の師として、これ以上ない人材だったように思われます。面倒見が良く、人情にも厚い人物ですから、育手としての道も悪くなかったのではないでしょうか。
原作『鬼滅の刃』では、鬼の始祖・鬼舞辻無惨を倒したことにより、日本には平和が訪れました。もし無惨を倒し損ねた世界線があったのであれば、天元が若手を育てる様子も見てみたかったものです。
宇髄天元のポテンシャル・まとめ
以上、宇随天元の秘められたポテンシャルについて考察を行いました。忍の家系、という他者にはない優位点を持っていた天元は、鬼殺隊士として、まだまだ成長の余地があったように思われます。
伊黒小芭内は、天元のことを気に入っていたのみならず、天元のポテンシャルを理解したうえで、鬼殺隊に残るよう引き留めていたのかもしれません。無限城編では、お館様の護衛という重要な位置を任されていた天元でしたが、もし彼が前線での戦いを継続していた場合、どのような戦闘が繰り広げられていたのでしょうか。
持ち前の派手さで味方を鼓舞しつつ、痣や赫刀を自発的に発現させる、宇随天元の姿が見たかったものです。ということで、今回の記事は以上になります。コメント欄で、是非あなたの感想・考察を書きこんでください。それではまた。