冨岡義勇という男
みなさんこんにちは。今回は「冨岡義勇」についての総まとめです。
小説など、最近では公式ファンブック第2弾も発売され、新しい情報も盛りだくさんとなってきました。冨岡義勇という人物は、本当におもしろいキャラ設定となっています。
そして、ただおもしろいだけではなく、しっかりと過去との繋がりや、エモい要素も仕込まれているというのが、鬼滅の刃のキャラの魅力であり、冨岡義勇という人物の魅力でもあります。
今回は義勇さんについて、余すことなくお伝え出来たらなと思います。
人物像
「過狩り狩り」という鬼滅の刃の元となった読み切り漫画では、義勇に似た主人公が登場しています。なので、作者の吾峠呼世晴先生の義勇に対する想いは、他とは違う特別感があるとみていいでしょう。
冨岡義勇21歳。初登場時、つまり鬼滅の刃1話。炭治郎と最初に出会った頃の義勇は、水柱になりたての頃で当時は19歳でした。ここの時系列的に少しおかしな部分もあるのですが、今回はさらっとだけ触れておきましょう。
義勇は1話の時点で19歳。義勇は現在21歳なので、1話は2年前のお話です。そしてその頃、義勇は水柱になりたてだった。しかし、これが時系列的に少しおかしいのです。
理由は、実弥が柱入りする時の回想。お館様の屋敷に柱が集まっていた中に、冨岡義勇・胡蝶カナエもいました。義勇が柱になったのは、約2年前。しかし、胡蝶カナエが亡くなったのは4年前。
つまり、ここに胡蝶カナエがいるという事は「実弥の回想は4年より前」ということになるのです。なので約2年前に柱になった義勇が、この場にいるというのはおかしい。
この点については、作者さんの可愛いミスだったのか、それとも煉獄杏寿郎のように、当時の水柱の代役のような形で、この場に義勇が招集されたのか。ミスであった可能性は高めですが、後者の理由付けもできないことはない。
当時の水柱が鱗滝だったかどうかは不明ですが、水柱はいつの時代にも柱が存在していたそうなので、誰かしらは柱として存在していたはずです。
煉獄さんの、柱の代わりに柱合会議に参加したあの設定も、ここのミスをカバーするものだという説も、あり得ると言えばあり得るかも?とまぁこの部分については、追加の情報を待つとしましょう。
そして、義勇の身長は176センチ、体重は69キロ。出身地は「東京府 豊多摩郡 野方村」です。現在の「東京都 中野区 野方」となります。趣味は詰め将棋。好きなものは鮭大根です。
詰め将棋は一人で黙々とできるものですし、いかにも義勇さんらしい趣味と言えます。そしてこの、好きなものの鮭大根。この鮭大根愛がとにかく異常で、普段笑わない義勇も、鮭大根を見ただけで超絶笑顔になります。
その笑顔は普段笑いなれていないせいか、胡蝶しのぶも引いてしまうほどの笑顔なんだとか。公式ではその笑顔を見ることはできませんでしたが、ファンなら一度は見てみたいと思ってしまいます。
初登場
初登場は2年前。冨岡義勇は、鬼舞辻無惨が竈門家を襲撃した後、炭治郎と禰豆子の前に現れます。ここにどうして義勇が現れたのか。僕の知る限りでは情報がなかったはずですが、公式情報で知っている方がいたら教えてください。
とある噂では、各柱は担当地区が決められており、炭治郎の家があった地域は義勇の担当地区だったのではないか、という説もあります。
そして、何かしらの鬼の出現情報を手に入れ、駆け付けたのではないでしょうか。それはおそらく、鎹鴉からの情報だったのではないかと。
義勇は「俺があと半日早く来ていれば、お前の家族は死んでなかったかもしれない」と言っていたので、竈門家襲撃の情報を手に入れたのではなく、鬼が出現したという情報を頼りに、炭治郎の家の周辺まで駆け付けたのでしょう。
そしてそれは、鬼舞辻無惨を見つけたという情報ではなかった。もしも無惨を誰かが見たのであれば、義勇一人で向かわせることはないでしょう。
いやそもそも、戦国時代から姿を隠し続けていた無惨を、鎹鴉が分かるかというと無理なような気がします。
炭治郎が狭霧山に向かう際、お堂の鬼にも遭遇しています。ああいった小物の鬼の情報を、義勇は手に入れ向かってきたのかもしれません。そして炭治郎と禰豆子と出会い「兄妹を生かす」という選択をとりました。
初登場時に一番多くの言葉を語るメインキャラは、義勇以外にいないのではないでしょうか。1話でセリフのほとんどを消化したと、ネタにされていたのは笑えます。
「なぜかばう?」
「それが妹か?」
「動くな。俺の仕事は鬼を斬ることだ。もちろんお前の妹の首もはねる」
「簡単な話だ。傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった。人食い鬼はそうやって増える」
「よくもまあ、今しがた己が喰われそうになっておいて」
「治らない。鬼になったら人間に戻ることは無い」
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!惨めったらしくうずくまるのは止めろ!そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない!」
「奪うか奪われるかの時に、主導権を握れない弱者が妹を治す!?仇を見つける!?」
「笑止千万!弱者には何の権利も選択肢も無い。ことごとく力で、強者にねじ伏せられるのみ!」
「妹を治す方法は、鬼なら知ってるかもしれない。だが、鬼共が、お前の意思や願いを尊重してくれると思うなよ!当然、俺もお前を尊重しない。それが現実だ!」
「なぜさっきお前は妹に覆いかぶさった!?あんなことで守ったつもりか!?なぜ斧を振らなかった!?なぜ俺に背中を見せた!?」
「そのしくじりで妹を取られている。お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!」
「泣くな、絶望するな。そんなのは今することじゃない」
「お前が打ちのめされてるのは分かってる。家族を殺され、妹は鬼になり、つらいだろう、叫び出したいだろう。わかるよ」
「俺があと半日早く来ていれば、お前の家族は死んでなかったかもしれない。しかし、時を巻いて戻す術はない」
「怒れ。許せないという強く純粋な怒りは、手足を動かすための揺るぎない原動力になる。脆弱な覚悟では、妹を守ることも、治すことも、家族の仇を討つことも出来ない!」
「感情に任せた単純な攻撃、おろか!」
「俺に勝てないのが分かっていたからだ。自分が斬られた後で、俺を倒そうとした?」
「間違いなく今は重度の飢餓状態。一刻も早く人の血肉を食らいたかっただろうに。守る動作、俺に対する威嚇……こいつらは、何か、違うのかもしれない?」
この炭治郎に有無も言わせぬ感じ。やはりコミュ力のなさが光っています。そして、鱗滝の元へ炭治郎と禰豆子を向かわせる義勇。その時も言葉足らずをシッカリと発揮しており、鬼殺隊などの説明は一切せず、ただ鱗滝の元へ向かえとだけ伝えています。
師匠の鱗滝への手紙に関しても、最低限の礼儀はありつつも、必要最低限の要件だけ伝えるという、いかにも義勇さんらしい手紙と言えます。
能力
今度は能力についてです。義勇が水柱にまで上り詰めることができたのは、それだけの実力があったからというのは間違いありません。しかし柱までの道のりは、簡単なものではありませんでした。
過去については後ほど詳しく触れますが、13歳の頃に最終選別を受け、そこから約6年をかけて義勇は柱になっています。
最終選別時の義勇の実力は低く、最初に出会った弱い鬼ですら、倒すことはできていませんでした。そして義勇は錆兎に助けられ、その後も鬼を一体も倒すことなく最終選別を終えています。
つまり13歳の頃の義勇は、15歳の炭治郎よりも遥かに弱かったという事です。それでも義勇は鍛錬を続け、6年かけてようやく柱にまで上り詰めました。
そもそも才能がなければ柱はおろか、鬼殺隊士として生き残ることすら難しいでしょう。義勇は、6年間生き残り柱にまで上り詰めたのですから、遅咲きとはいえ才能はあったと言えるでしょう。
水の呼吸は初心者向けの呼吸であり、何にでも対応ができる柔軟な呼吸でもあります。それゆえ水の呼吸に適性のある義勇は、鱗滝と同じく死なずに生き残ってこれたのかもしれません。
そしてその道中で、凪という義勇独自の技も手に入れた。凪という技については、後でもう少し詳しく触れたいと思います。
義勇の身体能力については、何かが飛び抜けているというものはありません。柱の腕相撲ランキングでは9位中5位。瞬足番付では9位中6位です。
この身体能力に水の呼吸という、ある意味「器用貧乏」とも言えますが、凪を手に入れたことにより義勇は、柱中最強の防御力を手に入れたとも言えます。
凪
義勇は水の呼吸を使います。水の呼吸に適性があり、尚且つ死に物狂いで鍛錬を重ねてきた義勇は、歴代の柱以上の実力を身に着けていると考えられます。その証拠に、凪という義勇独自の拾壱ノ型まで生み出してしまっています。
凪は「発動すれば敵の攻撃を防ぐバリア」のような便利な技ではありません。実はものすごいスピードで、義勇が敵の攻撃を刀で防いでいるのです。
累や猗窩座の時は静かに手元だけ動かしていましたが、無惨クラスの相手ともなると、さすがに全身を使って刀を振っていました。
凪は呪術廻戦で言う、簡易領域のような感じの技でしょうか。間合いに入ってきた攻撃を最小限の動きで防ぎ、そして隙を見て攻撃に転ずる。そういったイメージの技なのだろうと思います。
そしてこの技は、一朝一夕に身に着けられたものではないでしょう。義勇には飛び抜けた身体能力というものはなく、水の呼吸は爆発的に攻撃力があるわけでもありません。
それならば、水の流れで攻撃を受け流すことに特化する。そのために鱗滝さんにも鍛えてもらったでしょうし、たくさんイメージトレーニングと実践も踏んだのでしょう。
そして徐々に徐々に、今の凪の形まで持ってくることができた。そんな流れだったのかもしれません。
過去
義勇は子供の頃、姉の蔦子と共に、病死した両親の遺産で生活をしていました。しかしある日、姉は鬼に殺されてしまいます。
悲しいことにその日は、姉の祝言の前日でした。蔦子は義勇をかばい鬼に殺され、義勇は何とか一命を取り留めます。義勇は周りの者に「鬼が姉を殺した」と伝えますが、周囲はそんな義勇を見て、心が病んだと勘違いをしてしまいます。
そして、遠方の親戚の医者の所へ連れていかれることになるのですが、義勇は途中で逃げ出し、まだ幼かったために山で遭難。
そこを鱗滝の知り合いの漁師が発見。義勇は鱗滝の下で、鬼殺隊士を目指すことになります。姉を鬼に殺されたわけですから、動機としては十分でしょう。
そうして、同じく鬼に家族を殺され、天涯孤独だった錆兎と出会うことになります。同じような境遇の、同い年でもあった二人。二人はやがて親友となり、共に最終選別突破を目指すこととなります。
そしていよいよ最終選別の日。義勇は最初に出会った鬼に負傷させられ、そこを錆兎が助けます。義勇はその後も鬼を倒すことはなく、錆兎は他の者を救いながら鬼を倒し続けました。
そして、錆兎は手鬼と対峙。人を助け続けたために、錆兎の刀はすでに限界を超えていました。通常の鬼よりも硬い手鬼の体によって、錆兎の刀は折れてしまいます。そして錆兎は戦死。
義勇は負傷したまま別の受験者に預けられていましたが、気がついた頃には最終選別は終了していました。そしてその後、錆兎が亡くなったことを告げられています。
この最終選別の出来事から義勇は、選別を突破していない自分は柱になっていい人間ではないと、そう思い込んでいくようになります。
水柱
先ほどもお話した、義勇が鬼殺隊に入ってから柱になるまで、6年も費やしたというお話。これはもしかしたら、義勇自身が柱になるのを拒み続けていた、という事なのかもしれません。
柱になる実力はとうの昔にあったとしても、おかしくはありません。しかし他の水柱がいる間は、自分が柱になるのを拒み続けていたのではないでしょうか。
その当時の水柱というのは、実は鱗滝だったとか。鱗滝はずっと水柱を続けていて、さすがに歳を取って引退を考えた。そこで、義勇に対しとりあえず水柱になってくれと、お館様も巻き込んで無理やり話をつけたのではないでしょうか。
義勇は渋々返事をしたけど、完全に自分が水柱だとは思いたくなかった。そして炭治郎と出会い何かを感じ、鱗滝を通じて炭治郎を、水柱にまでさせたいと思っていた。
結局炭治郎は、水の呼吸よりも他の呼吸に適性を求めたため、義勇はご立腹だったようですが…
義勇が鱗滝の手紙に書いた「突破して受け継ぐ事ができるかもしれません」というのは、自分とは違い炭治郎は最終選別を突破し、もしかしたら水柱にもなれるかもしれないと、そういう意味だったのでしょう。
初めて出会った相手に対し、そこまでの可能性を考えられる義勇ですから、人を見る目はあると言えますよね。そしてその炭治郎によって、義勇は真の水柱となることができました。
姉の蔦子や錆兎の悲しい思い出を、自ら忘れようとしていた義勇。そこを思い出させたのは、炭治郎の言葉でした。
「義勇さんは錆兎から託されたものを、繋いでいかないんですか?」
義勇は、姉よりも自分が死んだ方が良かったと考えていました。そんな義勇を見て、錆兎は頬をはたきます。
「翌日に祝言を挙げるはずだったお前の姉も、そんなことは承知の上で鬼からお前を隠して守っているんだ」
「他の誰でもないお前が…お前の姉を冒涜するな」
「お前は死ぬんじゃない」
「姉が命をかけて繋いでくれた命を、託された未来を」
「お前も繋ぐんだ義勇」
親友だからこそ、義勇を殴ってまで生きる意味を叩きこんだ錆兎。義勇は思い出すと辛くなってしまうため、錆兎との思い出も封印していました。
しかし、心の中にその言葉はしっかりと根付いており、義勇をずっと生かしてきた原動力、つまり錆兎はずっと、陰ながら義勇を支えてきたのでしょう。ここは何度見ても感動します。
そして、真の水柱に目覚めた義勇は、実弥におはぎを渡そうと考えたりと、徐々にコミュニケーションを取ろうと考えていきます。
がしかし、今まで人との関わりを最小限にしてきた義勇ですから、そのやり取りは、天然ボケとも言える程ぎこちないものです。まぁここが義勇さんの魅力でもありますよね。賛同していた炭治郎も、相当な天然ですがw
半々羽織
これはとても有名な話です。義勇の羽織は特殊で、右半分が無地、左半分は亀甲柄という模様の羽織です。これを伊之助は、半々羽織と言っています。しかし正式名称は「片身替」という仕立てです。
この羽織の無地の部分は姉の、そして亀甲柄は錆兎のもの。これはとても深い意味を持っています。義勇は二人のことを思い出すと悲しくなるため、いろんな思い出を封印していました。
しかし、この羽織はずっと身に着けてきたのです。これは、ずっと義勇が悲しい過去と向き合わず、でも忘れたくないという両方の気持ちの、葛藤の現れにもなっているのです。
義勇の羽織は最終決戦でボロボロになってしまいましたが、ほとんど元通りに禰豆子が繕ったそうです。そのお礼に義勇は、禰豆子に山ほどのプレゼントを贈りました。そのことで、善逸は何故か義勇に嫉妬したそうですが…w
最終決戦後、義勇は昏睡状態になり、一時は危険な状態にまでなりました。禰豆子は義勇にこの羽織をかけ、戻ってほしいと呼びかけていたそうです。やはり義勇を戻したのは、姉の蔦子と錆兎だったのでしょう。
まとめ的なもの
義勇さんに関しては、まだまだ面白いところが多くあります。それは次回にまたまとめてみたいと思います。
しのぶとの関係性や、キメツ学園、コラボなどなど。みなさんも義勇さんのことで気になることがあれば、またコメント欄で教えてくださいね。それでは今回はこのあたりで♪