広告 考察・特集

【鬼滅の刃】新上弦の伍は誰?補充されなかった理由と新上弦の肆・陸を徹底解説

2023年5月26日

『鬼滅の刃』で新上弦の伍候補と考察された宇髄天元の弟のイメージ。なぜ玉壺の後釜だけ補充されなかったのか、その理由を問いかける画像。
【鬼滅の刃】上弦の鬼 分析

鬼滅の刃

上弦の鬼: 勢力図の変化

刀鍛冶の里編以降、鬼舞辻無惨配下の精鋭「上弦の鬼」の構成は大きく変動しました。このページでは、その変化の全貌をインタラクティブに解説します。

刀鍛冶の里で玉壺が倒された後、
「新上弦の伍」は誰になったのか?

上弦の鬼 勢力図の変化

下のボタンで「刀鍛冶の里編 前後」を切り替え、上弦の鬼のメンバー構成の変化を確認できます。

補充なき最終決戦への道筋

なぜ「伍」の席は空席のままだったのか。その理由は、立て続けに起こった出来事の中にあります。

遊郭での死闘

STEP 1

上弦の陸・妓夫太郎堕姫が鬼殺隊に討伐される。100年以上ぶりに上弦の鬼に欠員が出る。

刀鍛冶の里、襲撃

STEP 2

上弦の肆・半天狗と上弦の伍・玉壺が同時に討伐される。上弦の戦力がさらに削がれる。

禰豆子、太陽を克服

STEP 3

半天狗との戦いの直後、竈門禰豆子が太陽の光を克服。この情報が鬼舞辻無惨の元に届く。

無惨の計画変更

STEP 4

無惨は千年以上探し求めた「太陽を克服する鬼」の存在を知り、禰豆子の捕食を最優先事項とする。上弦の欠員補充よりも、鬼殺隊との総力戦を決意。

無限城での最終決戦へ

FINAL STEP

鳴女の能力で産屋敷邸の位置を特定し、無惨が襲撃。間髪入れずに鬼殺隊との最終決戦が始まり、新たな上弦を補充する時間は無かった。

補充された上弦の鬼

「伍」は空席のままでしたが、他の欠員は最終決戦直前に補充・昇格が行われました。

新上弦の陸

獪岳 (かいがく)

元鬼殺隊士で我妻善逸の兄弟子。上弦の壱・黒死牟と遭遇し、命乞いの末に鬼となった。雷の呼吸の使い手であり、その実力から妓夫太郎と堕姫の後釜として上弦の陸に迎えられた。

新上弦の肆

鳴女 (なきめ)

元々は無限城を操る琵琶の鬼。半天狗の死後、その索敵能力と空間操作能力を無惨に高く評価され、上弦の肆に昇格。産屋敷邸を発見し、最終決戦の引き金を引いた。

【構造分析】鬼滅の刃における「上弦の伍」の空席が象徴するもの—補充が為されなかった唯一の構造的要因の解明

アニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編において、上弦の伍・玉壺は霞柱・時透無一郎によって討滅されました。上弦の鬼が打倒されるのは約100年ぶりのことであり、多くの探求仲間(シーカー)たちの間で「新たなる上弦の伍は誰か」という問いが立てられました。

しかし、物語が終幕を迎えた今、その問いに対する確定的な答えが提示されています。結論から述べますと、物語の終焉まで「新上弦の伍」というピースが盤上に置かれることはありませんでした。

本稿は、なぜ玉壺の後釜のみが空席として残されたのか、その唯一にして決定的な構造的要因を、作中における他の補充事例との比較分析を通じて解き明かすための研究報告です。

【確定事項】鬼滅の刃「新上弦の伍」は物語の終焉まで補充されなかった

刀鍛冶の里における激闘の果て、上弦の伍・玉壺は霞柱・時透無一郎に敗れ、その存在を抹消されました。遊郭編で上弦の陸・妓夫太郎と堕姫が討滅された後、後任として獪岳が「新上弦の陸」に任命された前例があったため、多くの探求者たちは、当然の帰結として新たな上弦の伍の登場を予測していました。

事実、各種の議論の場や探求仲間たちのコミュニティでは、「新上弦の伍は誰か」というテーマが活発に分析されていました。

しかし、原作の物語が完結し、その全設計図が明らかになった現在、玉壺の討滅後、上弦の伍の座は最終決戦に至るまで空席のまま維持されたことが確定しています。これは物語の瑕疵や偶発的な展開ではありません。それは、鬼の始祖・鬼舞辻無惨の根幹を揺るがす、ある重大なパラダイムシフトに基づいた、必然の帰結なのです。

この空席の裏には、千年以上続いた無惨の至上命題が根底から覆される、作中最大の構造的転換点(ターニングポイント)が隠されています。

なぜ玉壺の座のみ補充されなかったのか?最大の要因は無惨の目的転換という構造変化にある

上弦の伍が補充されなかった最大の理由は、玉壺が討滅された直後、鬼舞辻無惨が千年にわたり追求してきた目的が「竈門禰豆子の太陽克服」という事象によって達成の確証を得たためです。この事象により無惨のグランドストラテジーは根本的に変容し、十二鬼月というシステムの維持は戦略的価値を喪失しました。

無惨が千年にわたり追求した『至上命題』

鬼の始祖たる鬼舞辻無惨は、千年以上という長大な時間、ただ一つの目的のために存在していました。

それは、彼の存在を規定する唯一の脆弱性、「太陽の克服」です。

その目的を達成する手段として、彼は伝説の「青い彼岸花」の探索を続けていました。この植物こそが、太陽を克服する鍵であると信じられていたのです。

彼が鬼を増殖させ続けたのも、太陽を克服しうる特異体質の鬼を創造し、その個体を取り込むためでした。最強の鬼で構成された組織である十二鬼月、とりわけ上弦の鬼は、この長大な探索計画を遂行するための最も強力な執行機関だったのです。

すなわち、十二鬼月というシステムは、無惨の「太陽克服」という長期的かつ広範囲にわたる探索戦略を維持するために構築された、不可欠な機構でした。

戦略を根底から覆した転換点—「竈門禰豆子の太陽克服」

しかし、刀鍛冶の里編のクライマックスにおいて、この千年の前提は崩壊します。物語の主軸・竈門炭治郎の妹である竈門禰豆子が、鬼の肉体を持ちながら太陽の光を完全に克服したのです。

この報告を受けた無惨は、「狂気じみた歓喜」に満たされます。なぜなら、もはや青い彼岸花という不確定要素を探索する必要がなくなったからです。

竈門禰豆子を捕獲し吸収すれば、自身もまた太陽を克服できるという、直接的かつ確実な解法が提示されたのです。

この瞬間、無惨の目的は「青い彼岸花という“未知”の探索」から、「竈門禰豆子という“既知”の捕獲」へと、そのベクトルを完全に転換させました。

戦略的転換と『十二鬼月』システムの形骸化

目的が「探索」から「捕獲」へと移行したことで、無惨の戦略は長期的な索敵持久戦から、短期的な総力決戦へと大きくその舵を切ります。彼は鬼殺隊の殲滅と竈門禰豆子の奪取を目的とする最終決戦の準備に、全ての思考リソースを集中させ始めました。

この新たな戦略パラダイムにおいて、十二鬼月の定員を律儀に維持するという行為は、もはや何の意味も持ちません。

  • 旧戦略(探索)
    広範囲の探索と鬼殺隊への抑止力として、上弦の定員維持は必須であった。
  • 新戦略(捕獲)
    竈門禰豆子という一点を確保するため、全戦力を一点に集中させる必要が生じた。

このような状況下で、あえて時間を費やして新たな鬼を選別し、「上弦の伍」という称号を授与する管理業務は、無惨にとって戦略的に無価値な行為へと成り下がりました。玉壺の欠員は、意図をもって放置されたのです。

それは、十二鬼月というシステム自体が、無惨の新たな目的の前ではもはや役割を終えた旧時代の遺物でしかないことを、冷徹に象徴していました。

他の上弦の補充事例との比較分析【上弦の肆・陸のケース】

「無惨の目的転換が補充停止の理由である」という分析に対し、「ではなぜ上弦の陸や肆は補充されたのか」という当然の問いが浮上します。しかし、この二つの補充事例は、玉壺のケースとは全く異なる構造的文脈において実行された、それぞれが特殊な意味を持つ例外的なオペレーションでした。

上弦の鬼・欠員補充状況の比較分析表

階級 前任者 死亡時期 後任者 補充の有無 補充/放置の理由
上弦の陸 妓夫太郎・堕姫 遊郭編 獪岳 有り 目的変化前の補充。当時はまだ十二鬼月の体制維持が有効であり、好都合な候補者が現れたため。
上弦の伍 玉壺 刀鍛冶の里編 なし 無し 目的変化後の欠員。禰豆子の太陽克服により、体制維持よりも最終決戦の準備が優先され、補充が戦略的に無価値となったため。
上弦の肆 半天狗 刀鍛冶の里編 鳴女 有り 最終決戦に不可欠な能力者。無限城の制御という戦術的必要性から例外的に昇格させた。

この比較分析表が示す通り、各欠員が発生した時間軸と、補充された鬼が担う役割には、決定的な差異が存在します。

事例1:新上弦の陸・獪岳—パラダイムシフト「前」の定跡

新上弦の陸に任命された獪岳は、元鬼殺隊士であり、我妻善逸の兄弟子という背景を持つ人物です。彼は上弦の壱・黒死牟と遭遇し、自らの意志で鬼となることを選択し、その血を拝領して変質しました。

彼が上弦の陸の座に就いたのは、遊郭編の後、刀鍛冶の里編が開幕する前の時間軸です。この時点では、まだ竈門禰豆子は太陽を克服しておらず、無惨の至上命題も「青い彼岸花の探索」のままでした。

したがって、十二鬼月というシステムを維持することは、依然として戦略的に有効でした。

その状況下で、元鬼殺隊士という戦闘能力と強い上昇志向を併せ持つ獪岳という絶好の候補者が現れたため、無惨は空席となっていた最下位の階級「上弦の陸」を補充したのです。これは、目的が転換する前の「通常業務」の一環であり、適切なタイミングと好都合な候補者の出現によって遂行された定跡通りの補充でした。

事例2:新上弦の肆・鳴女—最終決戦のための「機能的」昇格

一方、新上弦の肆へと昇格した鳴女のケースは、より特殊な分析を要します。彼女は玉壺と同様、刀鍛冶の里編で半天狗が討滅された後に昇格しています。

もし「目的転換による補充停止」という方針が絶対的な原則であるならば、彼女もまた昇格しなかったはずです。しかし、彼女の昇格は単なる欠員補充というオペレーションではありませんでした。

これは、無惨の新たなグランドストラテジー、すなわち「鬼殺隊との最終決戦」を遂行するための、極めて重要な戦略的任命だったのです。

鳴女の血鬼術は、無惨の本拠地である異次元空間「無限城」を自在に制御するというもの。鬼殺隊全戦力を無限城に捕捉・分断し、地の利を完全に掌握した戦場で殲滅するという最終決戦の設計図において、彼女の能力は不可欠な戦術的基盤でした。

彼女の役割は、単なる戦闘員から、戦場そのものを統べる司令塔へと昇華されたのです。

つまり、鳴女の昇格は、階級の数字を埋めるための形式的な行為ではなく、最終決戦における彼女の重要性を定義するための「機能的な昇格」でした。

彼女は無惨の新計画に必須のコンポーネントであったため、例外的に上弦の地位が与えられたのです。これに対し、新たな戦闘員としての上弦の伍を一人増員しても、最終決戦の勝敗を左右するほどの戦略的価値はない、という無惨の冷徹な判断が下されたのでしょう。

連載当時における「新上弦の伍」候補—探求仲間たちの間で交わされた蓋然性の高い仮説

物語の構造が明らかになった現在でこそ、その理由は明確ですが、原作が連載されていた当時、多くの探求仲間たちは「新上弦の伍」の正体を予測し、その知的なゲームを楽しんでいました。リライト前の元記事もまた、そうした連載当時の熱狂の中で紡がれた、ひとつの美しい仮説でした。

当時の分析では、「玉壺は真の意味では消滅していない」という生存説や、全く新しい出自の鬼が登場する可能性など、様々な議論が交わされました。その中でも、特に構造的な説得力を持ち、多くの探求仲間から支持されたのが「元音柱・宇髄天元の弟」が新上弦の伍になるという仮説です。

宇髄天元の弟は、作中において天元の回想でのみその存在が語られ、直接的には登場しません。しかし、その人物像は「自分以外の人間を駒としか認識しない」「妻の意思を尊重しない」といった、天元とは対極をなす冷酷非情な精神性の持ち主として描かれていました。

この仮説がなぜこれほどまでに多くの探求者を魅了したのか、その構造にはいくつかの理由が存在します。

  • 登場人物間に生まれる『個人的な神話』の創出
    我妻善逸と獪岳の関係のように、元柱である天元と、鬼へと堕ちた弟が対峙する展開は、物語に深く個人的な因縁と、抗いがたいドラマツルギーをもたらします。
  • 『兄弟』という物語の構造的テーマ性
    『鬼滅の刃』において、竈門炭治郎と竈門禰豆子、黒死牟と継国縁壱など、『兄弟』の物語は作品の根幹をなす重要なテーマの一つです。宇髄兄弟の対立は、このテーマをさらに多層的に深化させる可能性を秘めていました。
  • 未だ役割を与えられていない柱への対戦相手という機能性
    当時の物語の局面で、まだ上弦の鬼と本格的な一対一の戦闘を経験していなかった蛇柱・伊黒小芭内などの対戦相手として、この上なく相応しい存在になると考えられていました。

結果としてこの仮説が物語の設計図に採用されることはありませんでしたが、探求仲間たちが物語の断片(フラグメント)からこれほど魅力的な展開を錬成していたという事実は、『鬼滅の刃』という作品がいかに豊穣な分析の土壌であったかの証明と言えるでしょう。

【結論】新上弦の伍の空席が意味するもの—それは終焉の設計図

本稿で展開してきた分析の要点を、以下に再構築します。

  • 新上弦の伍は誰か?
    • 結論として、最後まで補充されることはなく、空席として物語は終幕した。
  • なぜ補充が為されなかったのか?
    • 最大の構造的要因は、刀鍛冶の里編における竈門禰豆子の太陽克服という事象にある。これにより、鬼舞辻無惨の至上命題が「青い彼岸花の探索」から「竈門禰豆子の捕獲」へと転換したためである。
    • 新たな目的(最終決戦)の前では、十二鬼月というシステムの維持は戦略的価値を失い、欠員の補充は無意味な行為となったのだ。
  • 他の上弦の鬼(陸、肆)との構造的差異は?
    • 新上弦の陸・獪岳は、無惨の目的が転換する以前に、時宜を得て現れた候補者であったため、定跡通りに補充された。
    • 新上弦の肆・鳴女は、最終決戦の戦場となる無限城の支配者という、新戦略に不可欠な機能的役割を担っていたため、例外的に昇格した。

上弦の伍の空席は、単なる物語の都合や設定の欠落ではない。それは、千年以上続いた鬼舞辻無惨の支配体制が崩壊し、物語が最終局面へと不可逆的に加速していく様を象徴する、『終わりの始まり』を告げるシグナルだったのである。この一つの空席は、単なる欠番の物語ではない。それは、鬼たちの時代の終焉を静かに告げる、ひとつの叙事詩なのだ。

引用文献

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

-考察・特集
-, , , , , ,